20代リハビリ職のまじめな資産運用

20代リハビリ職で働く投資家です。 積立NISAでeMAXIS Slim 先進国株を積立中。企業型DCでも、先進国株に積立しています。

平成バブルのはじまりとおわり

 

今回は平成バブルについて解説していきます。

 

私自身バブル時代のことは知らないですが、病院で高齢者の方に話を聞くと、皆口々に「金回りが良かった」「なにをしても儲かる時代だった」と言います。

 

では実際に平成バブルはどのように起きて、どのように崩壊していったのでしょうか?

 

それでは本題へ。

 

 

バブルの始まり

始まりは「プラザ合意」から

バブルの始まりは、先進5カ国(日米英独仏)による「プラザ合意」からです。
プラザ合意とは、ドル高是正を目的として協調的に為替介入を行っていくという合意です。


アメリカは1974年と1979年の2度の石油ショックにより、インフレと失業率の増加に苦しんでいました。


そこで、当時大統領であったレーガン大統領はインフレを鎮めようと利上げ(金融引き締め)と、財政拡張(財政赤字拡大をためらわず、財政政策を積極的に行うこと)を実施しました。

 

これによりドルは買われやすくなるため「円安・ドル高」となり、定着しました。

 

2度目のオイルショックの影響をあまり受けなかった日本は、「円安・ドル高」によりさらに貿易黒字を拡大させていきました。

 

対して、アメリカは「円安・ドル高」により、貿易赤字は拡大し、安く入ってくる日本製品がアメリカ国内産業の売上に大打撃となりました。

 

この貿易不均衡を是正するために、「円高・ドル安」に導く「プラザ合意」が行われたわけです。
具体的には、5カ国各国の中央銀行は保有するドルを売り出し、ドルの需要を下げることでドル安に向かわせました。

 

およそ1ドル240円 ➡ 1ドル150円台まで円高・ドル安が進みました。

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参考:平成バブルはなぜ起きたのか?どんな過ちがあったのか? | 製造業の個別原価と工場革新で経営改善を実現する株式会社アイリンク

 

先ほどの日本とアメリカの貿易関係はまったく逆転することとなり、日本の輸出産業にとっては大打撃となりました。
1ドル240円だったものが、1ドル150円台になったということは、アメリカ国内における日本製品は約60%の値上がりとなり、日本製品は買われなくなりました。

 

これにより、日本では「円高不況」に陥ります。
そこで景気対策として、公定歩合(金利)の引き下げを行いました。(=金融緩和)

 

具体的には、公定歩合を5回にわたって引き下げ(利下げ)、1985年の5% ➡1987年には2.5%の低金利となりました。
つまり、市場におけるお金の流れは流動的になり、経済循環が良くなりました

 

経済循環が良くなると予想されたため、土地神話が広まり財テクブームとNTT株の新規上場・値上がりによる株式投資ブームが広がりました。


土地神話とは、日本という狭い国土の国で限られた土地において、景気が良くなれば土地の需要は必ず上がり土地の値段は上がり続けるという神話です。(株価や地価は人々の思惑によって上がる場合もあります)

 

土地神話に踊らされたのは、個人投資家だけでなく、経営者や銀行までもです。
財テクをしない投資家や経営者はバカだとも言われ、銀行は通常土地の値段の7〜8割掛けまで融資するのがセオリーであったが、土地の値段以上の融資をしだすところもありました。

 

投資ブームは、NTT株の新規上場・値上がりにより投資をしたことがない個人投資家が株式市場に一気に流れ込んできました。
このとき、NTT株は売り出し価格1株119万円で、2ヶ月後には1株318万円まで暴騰しました。

2ヶ月約200万円の儲けとなり、簡単に儲けが出ると投資経験のない個人投資家がこぞって日本株を買い始めました。
これにより、日経平均株価は約4万円まで上昇しました。

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参考:平成バブルはなぜ起きたのか?どんな過ちがあったのか? | 製造業の個別原価と工場革新で経営改善を実現する株式会社アイリンク


企業は株式発行により簡単に資金調達ができるため、銀行は企業との取引による収益が悪化したのです。
そして、これは銀行の不動産投資への無茶な融資をさらに加速させました。

 

 

バブル崩壊

バブル崩壊は、不動産投資に対する「総量規制」「公定歩合を6%に引き上げ(金融引き締め) 」によって始まりました。

 

それまでは、不動産投資に対する銀行の無茶な融資が黙認されていましたが、国がこれを規制したため、個人投資家や経営者は銀行から融資を受けられにくくなったのです。

 

そうなれば、不動産の買い手が少なくなり(需要⬇)、不動産価格や地価は下落していくしかなくなります。
そして、売りがさらなる売りを生み、地価が大暴落していったわけです。

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参考:平成バブルはなぜ起きたのか?どんな過ちがあったのか? | 製造業の個別原価と工場革新で経営改善を実現する株式会社アイリンク

 

そして、今まで無茶な融資をしていた銀行は、担保としていた土地の価値が半減し、大量の不良債権を抱えることとなりました。

 

公定歩合の引き上げ(金融引き締め)は、日本の景気が回復し始めたため、インフレを防ぐ目的、景気が加熱し過ぎないように、1987年あたりに実行される予定でした。

しかし、市場にマネーがだぶついていたにも関わらず、当初予定していた金融引き締めができなかった理由が、世界同時株安(ブラックマンデー)です。
この影響により、もちろん日本株も暴落しましが、市場に増加したマネーが株価を押し上げ、半年程で株価は回復し、史上最高値の3万8900円まで上昇していきました。

ブラックマンデーで日本は金融引き締めができなかった理由としては、公定歩合引き上げにより金利が高くなった日本円にアメリカの資金が流入しやすくなり、アメリカ経済をさらに悪化させてしまうと予想されたからです。

 

遅れて1989年に金融引き締めに転じましたが、株式市場はすでにバブル状態でした。
金融引き締めにより市場マネーの流動性は低下し、先ほどの「総量規制」により日本経済が鈍化することが予想されたため、株価の暴落が始まっていきます。

そして、1990年に株、債券、円のトリプル安となってしまいました。

 

それ以降も、金融引き締めを続け、消費税増税などで景気悪化していく方向へと進んでいきました。

 

つまり、国は適切な時期に適切な金融政策や財政政策を取らなかったこと、銀行・経営者・個人投資家が根拠のない神話に踊らされたことが平成バブルにおける大きな要因ではないかと考えられます。

 

金利引き上げ(金融引き締め)や金利引き下げ(金融緩和)に関することは過去記事を参考にしてみてください。

 

www.ptinvestor.com

 

 

おわり

いかがだったでしょうか?
平成バブルはこのように起こって、崩壊していきました。

 

このように市場が盛り上がっている状況でも冷静に判断できるマネーリテラシーを身に着けておくことが必要ではないかと思います。

 

それではここまで見ていただきありがとうございました。
投資はあくまで自己責任で。