20代リハビリ職のまじめな資産運用

20代リハビリ職で働く投資家です。 積立NISAでeMAXIS Slim 先進国株を積立中。企業型DCでも、先進国株に積立しています。

米国株投資での配当金に対する税金について

マネックス証券、楽天証券の米国株取引における最低取引手数料が引き下げられたことで、米国株投資への敷居がかなり低くなりました。

そこで、今回は米国株取引でかかる税金について解説していきたいと思います。
商品によっては2重課税または3重課税となるので、是非知っておきましょう。
また、2重課税によって払いすぎた分を取り戻せる「外国税額控除制度」も紹介していますので参考にしてみてください。

それでは本題へ。

 

 

課税の仕組み

日本において、株式、投資信託、ETF(上場投資信託)などの金融商品で得た、インカムゲイン(配当益)やキャピタルゲイン(売却益)による利益に対しては、20.315%(所得税+住民税)が課税されます。

所得税に関する記事も参考にしてみてください。

www.ptinvestor.com

 

海外株・ETFにおける売却益に対しては20.315%のみの課税ですが、海外株・ETFの配当益に対しては、まず外国税が課税され、その後に日本の源泉徴収税が課税される流れになります。

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流れとしては、
売却益 ➡ 日本の源泉徴収税 ➡ 受け取り益
配当益 ➡ 外国の源泉徴収税 ➡ 日本の源泉徴収税 ➡ 受け取り益

つまり、配当益に対しては2重課税になるということです。
ETFの商品によっては現地国の課税も加わり3重課税になる場合もあります。

配当金に対する2重課税あるいは3重課税について

課税の流れからも分かるように、外国株取引によって得られた配当益に対して2重に課税されています。
実際に米国株取引で100ドルの配当金に対する課税を計算してみましょう。

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この例では配当金に対して、だいたい28%の課税がかかっています。

これに加え、米国ETFの商品によっては「現地国+米国+日本」の3つにおいて課税がかかってしまうものもあります。

例えば、米国ETFにヴァンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)という商品があります。
簡単に世界分散投資ができ、アセットアロケーション(資産配分)の調整を自動でしてくれるため、非常に人気の商品です。

VTの投資先地域別構成比は、米国株53%・米国以外の株47%となっています。
米国株による利益は先ほどの課税の流れになりますが、米国以外の株による利益に対しては現地国の源泉徴収税がファンド内で現地国へ税金が支払われる形になります。

つまり、
① VTのファンド内部で現地国へ税金が支払われる
② VTから支払われる配当金に対して米国の税金が課税される
③ 日本の税金が課税される
ということになり、3重課税となります。

 
実際にVTの年間報告書を見てみましょう。
($000)=1000ドル単位ということです。
Dividendsは、VTの配当益、最後の注釈1は、現地課税額を示しています。

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参考:VT年間報告書(2018年10月31日付)

VTの配当益 ➡ 3億7990万1000ドル
現地国課税額 ➡ 2222万1000ドル
課税前の配当益 ➡ 4億222万2000ドル

2222万1000ドル ÷ 4億222万2000ドル =5.5%
つまり、配当益の総額のうち5.5%が現地国課税となります。
※ 現地国課税率を示したものではないです。


3重課税のコストに関しては、「河童さん」のブログで詳細に解説されていますので、こちらを参考にしてみてください。

VTの三重課税コストは0.1327%でした - 個人事業主が節税してインデックス投資


2重課税から税金を取り戻すことができる「外国税控除制度」 

外国税控除制度とは、米国で課税された10%の源泉徴収税分を控除できる制度です。
日米間では、2重課税の排除と脱税の防止を目的に租税条約を結んでいます。
そのため、米国で支払った税金は確定申告により請求できます。

運用コストを抑えるために重要な知識ですので、是非ご自身でも調べてみてください。

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参考:外国税額控除について|国税庁


この計算式から分かるように、「配当益以外の所得」と「国外所得金額(配当益」によって控除限度額が決まっています。

つまり、2重課税による超過分がすべてが返ってくるというわけではないです。
独身で年収700万円であれば、だいたいの配当益であれば2重課税による超過分がすべて返ってきます。

年収と配当金のケース別で外国税控除を解説してくれているブログがあったので参考にしてみてください。

hiromethod.com

 

おわり

いかがだったでしょうか?
米国株取引における「2重課税問題」や「外国税額控除制度」は運用コストに影響してくるため、米国株取引をされる方は知っておくべきでしょう。

米国株あるいは外国株をコツコツ積み立てて資産を形成していきましょう。

それではここまで見ていただきありがとうございました。
投資はあくまで自己責任。