20代リハビリ職のまじめな資産運用

20代リハビリ職で働く投資家です。 積立NISAでeMAXIS Slim 先進国株を積立中。企業型DCでも、先進国株に積立しています。

幸福度の高いお金の使い方

今回は「幸福度の高いお金の使い方」について書いていきたいと思います。


この記事を読む前に最近のお金の使い方について今一度振り返ってみてください。
また、最近の生活の満足度や幸福度についても少し考えてみてください。


そして、この記事を読んでみて、自分のお金の使い方や生活の満足度・幸福度とを比較してみてもらうと、この記事をおもしろく読めるのではと思います。


ちなみに、今回の記事を書くにあたって「幸せとお金の経済学」「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が豊かなのか」の2冊の本を参考にしました。 

 

それでは本題へ。 

 

 

地位財の支出から見る幸福度

地位財とは、周囲との比較による優位性から満足感や幸福感を得られるものです。
例えば、給料であれば多い少ない、家だと大きい小さい、車では高い安いなど。
地位財は、モノ消費と考えてもらっていいと思います。


地位財では、一時的には満足感や幸福感が得られますが、時間が経過していくと満足感や幸福感は薄れていきます。


なぜなら、他人との比較優位によって初めて価値が生まれるからです。
そして、さらに満足感や幸福感を得ようと、他人と比較して価値の高いものを手に入れようとします。


他人と比較して価値の高いものを追求し続けると、いわゆるラットレースのようなものから抜け出せなくなります。
常にお金が必要で、そのために時間を犠牲にして働き続けるという状況に陥ってしまいます。


人がなぜ地位財を追求するかについて、「環境適応をめぐる進化の賜物である」と言われています。(『目からウロコの幸福学』著:ダニエル・ネトル)


「地位」というものは、子孫繁栄のためには欠かせないものであり、本能的に地位財を追求しようとします。


じゃあどうすればいいのか?地位財への追求をなくせばいいのか?
地位財への追求をなくすことは不可能でしょう。本能的なものであるため。


しかし、次に紹介する非地位財を正しく理解して、意識的に地位財と非地位財にお金を配分していくことで、短期的な幸福感と長期的な幸福感を調整することができ、人生全体の幸福度を高めることができます

 

非地位財の支出から見る幸福度

非地位財とは、他人との比較ではなく、そのもの自体に価値があり、満足感や幸福感を得られるものです。


例えば、休暇、健康、非日常的な体験、環境、自由などです。
非地位財は、コト消費と考えてもらってもいいでしょう。


非地位財は、お金に換算することが難しいです。
また、人によって対象のものが非地位財かどうか、非地位財であったとしてもその価値はどれくらいかということは明確ではありません。


そのため私たちはどうしても、分かりやすい地位財を追い求めようとするわけです。
だから、意識的に自分の中の非地位財を見極める必要があるわけです。
そして、この非地位財にお金を配分していき、人生の幸福度を高めることが重要であります。

 

 

地位財と非地位財における思考の違い

2つの例題を示します。

地位財(家)における価値の考え方

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この2つの世界であなたはどちらの世界を選びたいと思われますか?
絶対的な大きさは小さくなっても、周りと比べて大きい家(=他人より優位)に住める「Aの世界」を選択される方が多いんじゃないでしょうか?
これは「地位財」における価値の考え方です。

 

非地位財(休暇)における価値の考え方

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次にCとDの世界ではあなたはどちらの世界を選びたいと思いますか?
他人と比較して相対的に休暇が短くても(=他人より劣位)、絶対的に休暇が長い「Dの世界」を選びたくなるのではないでしょうか?

 

 

人間は非地位財を軽視する傾向にある

私たちは「地位獲得競争」において、本能的に上へ上へを目指そうとします。
しかし、上を目指せば目指すほど非地位財が軽視されていく傾向にあります。


たとえば、先ほどのAとBの世界において、人は他人より大きな家を買おうとします。
大きな家を買うためには、もちろんお金がより必要になってきます。


ここで多くの人は考えることは、より長い時間働いてお金を得ようとします。
つまり、時間や休暇(非地位財)を犠牲にしてしまうのです。


「Bの世界」が一生続けば、ずっと比較優位性を保てるため非地位財を犠牲にしても、地位財のみで高い幸福度を維持できるかもしれません。


しかし、いずれは誰かがより大きな家を建てて比較劣位な状況なってしまうか、またはみんな同じような家を建てて相対的にあまり変わらない状況になることでしょう。


そうなってしまうと、休暇(非地位財)を犠牲にしてまでも得た大きな家(地位財)からは大した幸福度を得ることはできなくなるのです。

 

 

ドイツ人の幸福論

まず日本とドイツの「世帯平均純資産」を比較してみます。
※世帯平均純資産:1世帯あたりの純資産から負債を除き、物価調整後の資産額

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参考:1世帯あたりの資産が最も多い国ランキング —— OECDに加盟する35カ国で比較 | BUSINESS INSIDER JAPAN

世界平均純資産は、OCEDが「より良い暮らし指標(Better Life Index)」プログラムの一環として加盟国から取っている経済的・社会的指標の1つである。

 

日本(4位)では、世帯平均純資産が9万7595ドル、ドイツ(17位)では、世帯平均純資産が5万7358ドルとなっています。


世帯平均純資産は、日本がドイツを上回っています。
しかし、OCEDが実施した各国生活満足度についてのアンケートでは、日本人は満足度5.9、ドイツ人は満足度7となっており、生活の満足度に関してはドイツ人が日本人を上回っています。


このような結果になった理由は、日本人とドイツ人の「非地位財」に対する考え方の違いにあるのかもしれません。

 

ドイツ人の幸福度の高さは「自由時間」にあり

ドイツでは、平日20時以降と日曜祝日は店を開けてはいけない「閉店法」があります。
また、年間有給休暇は30日あり、土日祝も合わせると年間150日の休暇があるということです。


そのため、ドイツはOCED加盟国の中で労働時間が最も短い国であり、ドイツ人の1人あたりの年間労働時間は1363時間となっています。
ちなみに、日本人は1680時間です。
参考:世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD) – Global Note


ドイツ人は日本人より自由に使える時間が317時間あるという計算になります。
つまり、ドイツ人は多くの「非地位財」を有していると言えます。

 

 

極めつけは「休暇の過ごし方」

ドイツ人の幸福度が高い理由は、「休日の過ごし方」にも関係しているかもしれません。


長時間労働で毎日忙しい日々に追われている日本人では、都会でのショッピングや他人より高いものを買うことで仕事のストレスを発散している人が多いのではないでしょうか?


対して、ドイツ人が休暇に求めるものは「自然を満喫すること」や「家族と過ごすこと」なんです。

ドイツの公的健康保険運営組織(DAK)のアンケート調査によると、「今年の休暇で何が良かったか?」の質問に対して、最も多かった答えは「太陽の光と自然」だったのです。


他には、「家族と過ごす時間」や「普段と違う場所に行けたこと」と回答する人も多い結果となりました。
つまり、ドイツ人は「非地位財」を重要視していることがわかります。


日本人は「地位財」を追求するあまり、「非地位財」への配分がおろそかになってしまい、生活の幸福度が低くなっている、
ドイツ人は、「地位財」への追求よりは、「非地位財」を重要視することで、生活の満足度を高く保っているのではないでしょうか?

 

おわり

いかがだったでしょうか?
今回は幸福度の高いお金の使い方について書いていきました。

「地位財」とは、他人との比較優位により初めて価値が生まれるもの
「非地位財」とは、そのもの自体に価値があるものです。

この2つのことを意識すれば、生活の幸福度を上げることができるのではないでしょうか?

それではここまで見ていただきありがとうございました。
投資はあくまで自己責任。