「資本論」を読んでみる <1>
今回はマルクスの「資本論」について解説していきます。
私たちは、資本主義社会のもと仕事をしたり、生活を営んだりしています。
その資本主義社会を理解することで、今後の生活や資産運用に役立てることができればと思い、この記事を書きました。
「資本論」自体の内容はかなり難しいものなので、できるだけ簡単に、また本なども参考にしながら書いていきます。
それでは本題へ。
資本主義とは?
資本主義とは、労働力も含めた一切すべてが商品化され、資本家は労働者から労働力(商品)を買って、新たな商品を生産しその商品を売ること、また剰余労働による剰余価値で利益を得て、資本家はさらに資本を拡大さえる経済システムのことです。
この資本主義を論じたのが、1867年に出版されたマルクスが著した「資本論」です。
「資本論」で論じようとしていることは、
人間の労働があらゆる富の源泉であり、資本家は、労働力を買い入れて労働者を働かせ、新たな価値が付加された商品を販売することによって利益を上げ、資本を拡大する。資本家の激しい競争により無秩序な生産は恐慌を引き起こし、労働者は生活が困窮する。労働者は大工場で働くことにより、他人との団結の仕方を学び、組織的な行動ができるようになり、やがて革命を起こして資本主義を転覆させる。
引用:高校生から分かる「資本論」|池上彰|集英社
この要約から分かるように、資本主義社会を説いた上で、その資本主義社会のシステムが破壊されるというところまで論じています。
「大工場で働く」というところが分かりにくければ、「Amazon」をイメージしてみてください。
Amazonは、はじめは本だけを販売するオンラインストアの会社でした。
しかし、今では様々な商品を扱い、様々な産業を飲み込んでいくことで、世界で最も大きな企業(大工場)の1つへと発展を遂げています。
2018年時点でのAmazonの従業員数は64万7500人となっています。
ここからさらに資本の拡大が進み、労働者の組織的な行動によって革命を起こし、資本主義を転覆させるかは分かりませんが、マルクスが「資本論」で論じたことが実際に怒っています。
世界は商品で溢れている
資本主義社会では、先ほども解説したように労働力を含めた一切のものが商品化され、その商品・サービスは自由競争市場で取引・販売されています。
商品とは、なんらかの人間の欲望を満たすものとされています。
「なんらかの人間の欲望」は、かなり抽象的なものなので、具体化していきましょう。
人間の欲望・欲求とは
人間の欲望・欲求については、「マズローの欲求5段階説」がよく取り上げられます。
「生理的欲求」➡ 食欲、睡眠欲、性欲など
「安全欲求」 ➡ 安全な家や生活するための服など、それらに必要なお金
「社会的欲求」➡ 友人、家族、会社などのコミュニティで受け入れられたいという欲求
「承認欲求」➡ そのコミュニティの中で尊敬されたい、認められたいという欲求
「自己実現欲求」➡ 「目指す自分を実現したい」という欲求
これら5段階で人間の欲求は表現され、安全欲求と生理的欲求は「物質的欲求」とされ、社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求は「精神的欲求」とされています。
この人間の欲求を満たすものとされる「商品」には、2種類ないし3種類の価値に分けることができます。
商品における価値とは
資本主義社会で、溢れている人間の欲求を満たすものである「商品」ですが、2つないし3つの価値に分けることができます。
- 使用価値
- 交換価値
- 価値
使用価値とは、有用性・有益性を意味し、使って役に立つということです。
そして、使用価値があるものは、別の使用価値のあるものに交換することができます。
つまり、使用価値があるものは交換価値があるということです。
交換価値は、「A商品X量」⇔「B商品Y量」⇔「C商品Z量」と量的比率で表すことができ、この究極的なものが「貨幣」となります。
価値とは、その商品を作るのに要した手間やどれくらいの労働力がかかったかによって測られます。
例えば、空気には使用価値はありますが、価値はないということです。
「労働力」も商品の1つ
資本主義社会では、一切すべてのものが商品化されます。
「労働力」もその1つです。
では、「労働力の価値」はなにで決められるのでしょうか?
労働力の価値は「再生産コスト」で決まる
労働の価値は、労働力の再生産に必要なもの(経費)の合計の価値とマルクスは定義しています。
つまり、労働者が1日働いて、翌日も同じ労働力を提供するために必要な経費ということです。
分かりやすく言うと、1日働いてエネルギー0%の状態から、翌日に100%に回復させまた労働力を発揮するには、「食事」や「寝るための家」が必要です。
その他にも「衣類」や「携帯」、「気晴らし」も必要です。
それらの経費をすべて合わせたものが「労働力の価値」ということです。
私たちが会社から貰っている給料は、この「労働力の価値」をベースとしています。
会社への貢献度やその仕事の需給バランスなどは二次的な要素なのです。
この仕組みを理解すると、給料が年功序列に従って上がっていくということがわかってきます。
20代独身と40代妻子持ちを比較すると、「労働再生産コスト」が違います。
20代独身は自分が生活するだけのコストで十分ですが、40代妻子持ちだと妻と子を養わないといけません。
つまり、仕事の成果というよりは「労働の再生産コスト」によって給料のベースが決まっているということです。
ただ、これは外資系企業ではあまり当てはまらないことです。
また、現在の日本でも終身雇用の限界などもあるように、給料のベースが「労働の再生産コスト」ではなく「多くの利益を上げた人に分配する方式」に変わっていくかもしれません。
また、発展途上国などの国の人件費が安いのも理解できるかと思います。
これらの国ではだいたい物価が安いです。
つまり、労働の再生産にかかるコストが安いため、相対的に人件費も安くなるということです。
おわり
いかがだったでしょうか?
今回は「資本論」について解説していきました。
難しい内容なので、いくつかの本を参考にして書いていきました。
わからないところや間違っているところがあれば、コメントいただけると幸いです。
それではここまで見ていただきありがとうございました。
投資はあくまで自己責任。