あなたの会社はどちらの企業年金ですか? −確定給付年金と確定拠出年金について−
あなたの会社はどちらの企業年金を採用していますか?
ちなみに、企業年金には、「確定給付年金」「確定拠出年金」「厚生年金基金」の3つがあります。
厚生年金基金は平成26年以降に新規設立ができなくなったため、今回の記事では扱いません。
なので「確定給付年金」「確定拠出年金」について話を進めていきましょう。
簡単に言うと、
「確定給付年金」は、将来の給付額が確定しているものです。
「確定拠出年金」は、毎月の拠出額(掛け金)が確定しているものです。
では詳しくは本題へ。
まずは年金制度をおさらい
まずは日本の年金制度をおさらいしましょう。
年金制度は3階建て構造で構成されています。
分かりやすいようにイラストを使って説明します。
引用:https://www.toushin.or.jp/dc_contents/outline/
国民年金(1階)と厚生年金(2階)が公的年金と呼ばれるものです。
そして確定給付年金や確定拠出年金などの私的年金(3階)で構成されています。
今回は、私的年金の中の企業年金のところの話です。
確定給付年金とは?
確定給付年金とは、従業員が将来受け取る給付額が確定している企業年金制度です。
2018年3月末時点では加入者数940万人で、日本で最も多く利用されている企業年金になります。
概要として、企業が拠出⇒運用⇒管理⇒給付をすべて行います。
したがって、運用で失敗した場合は会社が責任を負い、将来の給付額に不足が出た場合は会社が補填します。
確定給付年金には、大きく2つのタイプがあります。
- 規約型
企業内で決めた企業年金に関する規約に基づいて拠出し、外部の信託銀行や生命保険会社が年金資産を運用・管理・給付まで行います。
- 基金型
企業外部に企業年金基金を法人として設立し、会社から独立した立場で年金資産の拠出から給付まで行います。
メリット
- 年金給付額がある程度保証されているため、老後のライフプランの設計を立てやすい
- 自分で年金資産の運用をしないで済む
- 万が一(倒産など)の場合でも、受給を保証する法律がある
デメリット
- 予定されていた給付額よりも減額される可能性がある
- 損失補填の負担が大きい場合は、給料に影響する可能性がある
- 退職理由により、受給額が変動するリスクがある
確定拠出年金とは?
確定拠出年金とは、毎月の掛け金が確定している企業年金です。
2018年3月時点で、加入者数690万人となっています。
概要として、企業は拠出と給付、従業員が運用・管理を行います。
※マッチング拠出では従業員も拠出する場合あり
つまり、将来受け取れる給付額は個人の運用成績次第となります。
詳しくは過去の記事を参考にしてみてください。
メリット
- 運用成績次第では年金資産の増額が可能
- 資産残高をいつでも確認できる
- 万が一(倒産など)の場合でも、資産は100%保全される
- 転職しても転職先の企業年金口座または個人年金口座へ移換可能
デメリット
- 運用成績次第で積立金額(元本)を下回る可能性も
- 60歳時点での給付額が見込みでしか予想できない
- 原則60歳まで資金拘束
- 数多くある運用商品の中から選ばなければならない
企業で確定給付年金から確定拠出年金への移行が相次ぐ
現在、確定給付年金から確定拠出年金への移行が相次いでいます。
ソニーは、確定給付年金、確定拠出年金、退職一時金の3制度を採用していましたが、完全に確定拠出年金へ移行したそうです。
また、2018年10月24日の日本経済新聞によれば、厚生労働省の就労条件総合調査において、確定拠出年金の採用割合が初めて5割を上回ったとされています。
確定拠出年金化が進んでいる理由としては、確定給付年金は、企業にとって運用成績次第では大きな「債務」となり得るからです。
景気が悪化した場合、企業業績も悪化し、決算発表後に株価は下落する可能性が高いです。
また景気悪化が影響して、確定給付年金の運用成績は引きづられるように悪化するでしょう。
そうなれば企業は損失補填をしなければなりません。
そして、損失補填のため企業業績は更に悪化、決算発表、株価下落…
景気悪化⇒企業業績悪化⇒決算発表⇒株価下落⇒運用資産悪化・損失補填⇒決算発表⇒さらに株価下落
確定給付年金はこのような負のスパイラルを生む可能性があります。
確定拠出年金にすれば、運営するのは企業ですが、運用結果は従業員ひとりひとりの責任となるため、会社の債務とはなりません。
これらの理由から、確定拠出年金化へと大きく変化しているところです。
おわり
いかがだったでしょうか?
今回は企業年金の確定給付年金と確定拠出年金について書いていきました。
各企業が確定給付年金から確定拠出年金の採用へと進んでいっています。
確定拠出年金では、将来受け取れる給付額は従業員ひとりひとりの責任で増えたりも減ったりもします
また、確定拠出年金は老後資産で中核となる存在です。
つまり、老後のお金は自己責任で備えなさいといことなんです。
この前の金融庁の報告書でもそうですが、色んなところで自助努力が求められる時代になってきています。
国に、誰かに頼ってばかりではだめなんです。
個々人がマネーリテラシー・インテリジェンスを身に付けるために日々お金の勉強はしていきましょう。
それではここまで見ていただきありがとうございました。
投資はあくまで自己責任。